世界的にアメリカ経済への信頼感が低下して、ドル安・円高が高速に進んだことだって、決してマイナスばかりではない。輸出依存型の企業にとっては厳しい経営環境とはいえ、1995年春には1ドル80円を切ったこともある。当時のわが国経済はバブル崩壊後だったが、それでも、産業界の努力によって何とか対応してきた。当時に比べれば、わが国の産業界も基礎体力を強化しているはずだから、1ドル100円を切った程度であれば、十分に対応は可能だろう。このドル安は庶民にとってはメリットが少なくない。輸入品の価格引き下げ効果が期待でき、このところの物価上昇傾向に歯止めをかけるキッカケになるかもしれない。事実、原油価格の低下に円高・ドル安が加わって2008年秋以降、ガソリン価格は急速に低下している。穀物価格の高騰によって上昇傾向が強まっている食品関係についても、今後は円高・ドル安メリットが徐々に反映されていくことになるだろう。そうなれば、庶民の生活への不安感を徐々に解消されていくはずである。2007年後半から、2008年と購入マインドが冷え込み、市場が減速した状態が2009年も続いたとすれば、消費者のマイホーム買い控え期間は通算2年半に及ぶことになる。その溜まったエネルギーが、先行き見通しへの安心感、値頃な価格感と相まって、再び購入エネルギーに転化される可能性がある。3度目のバブルが起こることは考えにくいにしても、比較的安定した市場が形成されることになるのではないかと期待できる。しかし、実はそれは楽観的過ぎる見通しといわざるを得ない。すでに始まっている人口減少などを考慮すれば、消費者の購入意欲が多少回復したとしても、そのパワーはこれまでに比べるとかなり小さなものにとどまる可能性が極めて高いことを考証しておく必要がある。
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