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同一空間を同時間に多重に使うことで家族の団欒が生まれる

2011.12.09

各自が同一空間を同時間に多重に使う。多重空間であればあるほど家族の団らんが生まれるのである。かつての囲炉裏端に家族が集まり、父親は酒をちびちびやり、母親は繕いものをする。娘は本を読み息子は絵を描く……。それが今日では、父親はコーナーの机で帆船のモデルをつくり、母親はミシンをかける。娘はヘッドホンでCDを聴き、息子はパソコンで新たなソフトをつくる……。いずれも家族のほほえましい団らんの図ではないか。一方で、同一空間を多目的に使う多用途の部屋がある。

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独身者の住まいなどがそれで、朝は食事スペースや仕事部屋、夜は寝室と部屋がその道具や装置で変身していく例なのだが、それと先の多重利用とは若干趣を異にする。こちらは、どちらかといえばあの九尺二間の江戸の裏長屋の最小限生活スペースの生活と同じなのだが、ここでの生活では、家族の自由性というものはない。主人の号令で全員が休み、全員が起きて食事をする。不自由な空間の時間差の多目的利用で、これはむしろ独身者か、新婚の二人だけの住まいの方が適切だろう。多重利用の方はそれに対して、団らんに重点を置きながら、かつ家族に勝手気ままな住生活を約束する。しかも限られた空間の中でだ。